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アサザはどこへ?

本紙掲載日:2022-05-24
1面
昨年までは岸辺にびっしりとアサザが繁茂していた
希少植物のアサザがなくなっていた延岡市の金堂ケ池。水面に丸い葉はほとんど見られない

金堂ケ池で繁殖の希少植物−延岡

◆専門家「なぜ、原因知りたい」

 延岡市西階町の金堂ケ池で繁殖していた希少植物の「アサザ」が池からほぼなくなっていたことが、24日までに分かった。原因は分かっておらず、植物愛好家は「まさか。なぜなくなったのか」と信じられない様子。今後の再生、繁殖が心配される。

 ミツガシワ科のアサザは、池や沼に生える多年草の水草。直径5〜10センチの丸い葉が水面に浮かび、夏に同3〜4センチの黄色い花をつける。種子は水面に浮き、浅い岸辺で発芽する。晴れた日の朝に咲くことが名前の由来とされている。

 県のレッドデータブックなどによると、県央部の自生地がなくなり、2000年に「絶滅」と判断された。その後、延岡市内の自生地で採取された株が栽培され、延岡植物園などで生育していたことが判明。野生は絶滅したが、飼育・栽培下で県産のものが存続している「野生絶滅」に〃復活〃した。

 同植物園で栽培していたうちの数株を金堂ケ池に移植後、県北植物愛好会が保護活動を行い、岸辺近くに密生するほど増えた。池周回コースのスタート地点付近に設置されているコース図の看板には、アサザが写真入りで紹介されている。花を咲かせる5〜6月には、ウオーキングなどで訪れる人の目を楽しませていた。

 しかし、今年も見頃を迎えるはずだったアサザは、ほとんどがなくなっていた。水面に葉が数枚点在している状況で、中にはわずかに茎が見えるものもあるが、根とつながっているのかは分かっていない。

 同愛好会の成迫平五郎会長は「びっくりした。原因は分からないが、残念。なぜなくなってしまったのか原因を知りたい」と語った。

 市都市計画課の担当職員は「自然の池のため、今後のことは見守るしかない」と話している。

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