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次世代救急QaaS(カース)

本紙掲載日:2022-06-18
1面

デジタル田園都市交付金に採択−延岡市

◆救命率アップへ−空飛ぶ車見据えた新プロジェクト−

 延岡市は17日、新たな救急搬送体制づくりのプロジェクトが、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金の対象事業に採択されたと発表した。データ連携基盤を活用し、救急隊や医療機関などが必要なデータを共有するシステムを今年度中に構築。搬送時間の短縮や迅速な受け入れ、適切な医療処置につなげ、救命率アップを図る。

 採択されたのは、「データ連携基盤と次世代モビリティを活用した〃救急〃アズ・ア・サービス(QaaS〈カース〉)」。旭化成や県立延岡病院、慶應義塾大学大学院システムマネジメント研究科など五つの機関と連携し申請した。事業費は3億2997万円で、うち9割を国が交付金で支援する。九州で採択されたのは同市だけだった。

 QaaSでは、個人が日々の健康記録や診療情報などを入力し管理するアプリを実装。心電図などのデータを搬送先の医療機関に送信するシステムを構築し、個人の健康を管理するアプリとも連携することで、搬送時間の短縮や適切な医療処置につなげる。

 また、救急搬送時に救急車、搬送先医療機関、消防指令センターなどの間で患者の症状に関する情報を共有し、初動対応に生かすシステムを構築。救急搬送で救急車、ドクターカーの選定や運行管理などの設定を支援するシステムづくりにも取り組み、空飛ぶクルマの実用化も見据え、救急車やドクターカーとの接続ポイントの選定などを行うシステムを構築する。

 同市など県北地域は、宮崎県や隣県のドクターヘリが基地病院から約15分で到着可能な範囲の外にあり、救命救急医療への対応力強化が課題となっている。

 読谷山洋司市長は「地理的に厳しい県北の地域間格差を大きく解消していくことができる。助かる命を大幅に増やす可能性が広がった」と述べた。

 同構想は、デジタル技術の活用によって地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な社会を目指す。国は2021年度補正予算で200億円規模の同構想推進交付金を創設。「デジタルを活用して地域の課題解決や魅力向上に取り組むもの」など、社会実装に向けた事業を交付金で支援している。

 同市は今年3月にも三つの事業が採択され、簡単で便利なポータルアプリの構築などの事業に取り組んでいる。

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