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「黒岩園」整備を本格化

本紙掲載日:2022-07-12
1面
顕彰会による「黒岩園」の整備(昨年11月14日)
渡辺修三顕彰会の総会であいさつする渡部会長

茶園が鹿の食害−来年こそ茶摘みを

◆詩人・渡辺修三顕彰会が総会

 昭和初期に詩壇の第一線で活躍した渡辺修三(1903〜78)を顕彰する延岡市の渡辺修三顕彰会(渡部俊雄会長、60人)は8日、同市稲葉崎町の事務局(東海幼稚園内)で今年度総会を開き、「黒岩園」整備の本格化など今年度事業を決めた。

 「黒岩園」は、修三が同市大野町の山中で営んでいた茶園。現在、その麓には詩碑が建てられている。顕彰会はその一部を再整備し、「天使たちのお茶」を収穫するとともに、地域や子どもたちの交流の場とすることを計画している。お茶の名称は修三の代表作「天使たち」にちなむ。

 整備は昨年7月から始め、3メートルにも伸びていた茶の木を高さ30センチにそろえた。しかし、芽を鹿に食べられたため、12月に鹿の侵入を防ぐネットを設置。今年4月には再び芽吹いているのを確認したが、数が少なかったため、初の茶摘みは断念した。

 今年度は、ネットの補強のため、7月に高さ約1メートルの金網を設置し、来年5月の茶摘み実現を目指す。

 また、コロナ禍で2年間規模縮小した詩碑祭を、修三が作詞した校歌などを歌う本来の形で、11月に行いたい考え。日程は、黒岩地区の秋祭りを考慮して決めるとした。

 渡辺修三は延岡市尾崎町出身。1921(大正10)年に旧制延岡中を卒業後、早稲田大英文科で詩人の西条八十に師事。28(昭和3)年に初めての詩集「ヱスタの町」を出版し、「モダニズムの旗手」として注目された。帰郷後、茶園を営みながら詩作を続け、その環境から「谷間の詩人」と呼ばれた。

 詩碑は、こうした功績をたたえようと2013(平成25)年に修三ゆかりの人たちが建立。「天使たち」の詩が刻まれている。

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