熊本豪雨の事例に学ぶ

本紙掲載日：2022-07-13

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熊本豪雨災害での災害ボランティアセンター支援活動の事例発表に耳を傾ける受講者

災害ボランティアリーダー研修－延岡市

　大規模災害時に地域の内外から支援に入るボランティアのまとめ役となる「災害ボランティアリーダー」のスキルアップ研修がこのほど、延岡市社会福祉センターであり、８０人が受講して知識を深めた。

　災害ボランティアの役割をおさらいした後、市役所職員が市の危機管理体制、天下町の河川防災ステーション（水防センター）や県営浜団地（浜町東地区）屋上への津波避難路整備、地域ごとの水害・土砂災害ハザードマップ作成を含む今年度事業について説明。災害廃棄物の分別回収についても指導があり、便乗廃棄の防止策などを学んだ。

　この後、災害ボランティアや復興支援活動に取り組む熊本県の特定非営利活動法人「バルビー」の岳中美江事務局長が、２０２０年７月の豪雨災害を中心に活動事例を紹介。新型コロナウイルスの感染拡大で、県外からのボランティア受け入れを断らざるを得なかった苦労などを振り返った。

　熊本豪雨では球磨村で県内最多となる２５人の死者が出たが、災害ボランティアセンター（ＶＣ）は被災状況などにより隣町の人吉市に開設。球磨村にはそのサテライトＶＣ（支所）が置かれ、バルビーが支援に入った。

　活動拠点の地区社協施設は一般・福祉避難所も兼ねており、災害ボランティア運営を含め職員と支援スタッフが総出で対応。その後、同所はサテライトから独立型のＶＣに発展したが、県外から次々と寄せられるボランティアの申し出に対しては断る側の負担も大きく、岳中さんは状況によって対応する人材の確保が必要になると訴えた。

　また、球磨村は山間部で交通事情が悪いため、ＶＣスタッフが作業資機材搬入への同行、回収、交通誘導も担当。一方で、民家にたまった泥の洗い出しや消毒などはきりがないほど多いため、他団体との円滑な連携・分担が求められるとした。

　球磨村には民家は無事でも、道路や橋などの生活基盤が被災したことによる「インフラ避難」が最大２４０世帯に上り、仮設住宅の退去期限が迫っているという。こうした状況から、現在もＶＣが稼働して、元の住居の復旧や引っ越しを支援しており、岳中さんは息の長い活動を続けていく決意を語った。

　災害ボランティアリーダーは災害発生時に、①地域の被災者と災害ＶＣをつなぐ②実際に災害ボランティア活動に当たる③災害ＶＣの業務に参加するなどの役割を担う。

　延岡市内では、市社協が２００７年度から開いている養成講座の修了者８３３人をリーダーに登録。スキルアップ研修は資質向上と再教育を目的に、１８年度から養成講座と毎年交互に実施しており、今回で３回目となった。