「家族が濃厚接触者」は対象外

県ＰＣＲ検査センター無料検査

◆周知不足で戸惑い

　新型コロナウイルスの急激な感染拡大とともに、県がＰＣＲ検査センターで実施している県民向けの無料検査について、「窓口で断られた」と戸惑う声が聞かれるようになった。同居の家族が濃厚接触者となった場合などに対象外となることが、十分に周知されていないためとみられる。

　県民無料検査は感染拡大の傾向が見られる場合に、県知事の判断で実施。ワクチン接種の有無にかかわらず、感染に不安を感じる県民は誰でも検査を受けられることになっている。

　従来から感染者の濃厚接触者は無料検査の対象外だったが、今年４月１日からは濃厚接触者の感染が判明した場合に「自らも陽性となる可能性が高い人」も同様の扱いとする（濃厚接触者と見なす）条件を追加。このため、濃厚接触者の同居者や、普段からマスクなしで接していた人なども対象から外れた。

　だが、感染者数の急増に伴い、こうした条件を知らないまま「家族が濃厚接触者になって、自分も不安だから調べたい」と無料検査を予約する人が増加。結局、検査会場で受け付け時に対象外と知らされるケースが出ている。

　これに対し、夫が濃厚接触者（その後感染が判明）になって無料検査を予約したが、窓口で受け付けてもらえなかったという延岡市内の女性は、「もし自分が感染していたらと思うと買い物にも出づらく、どうしていいか分からなかった」と振り返った。

　一方、感染者の急増で感染経路の追跡調査が困難となり、保健所は現在、感染者の同居家族らも生活状況にかかわらず濃厚接触者と見なし、原則、自宅待機を要請。自宅療養の感染者が出た家庭には飲食品や日用品を配送しているが、供給が間に合っていない。

　爆発的な感染拡大は８月以降も続く可能性があり、県や市町村は市民に対し、感染したり濃厚接触者となることを前提に、「１週間程度の食料や常備薬などの備蓄をお願いします」と呼び掛けている。