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みなし陽性、国が暫時的に運用

本紙掲載日:2022-08-06
1面

爆発的な感染拡大に対応

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が続く中、感染者の同居家族らを濃厚接触者扱いとし、発症した場合は陽性者とみなすなど、検査なしの診断法が運用され始めました。より自己判断を求められることとなり、不安の声やトラブルも報告されています。そこで今回は、ケースによって異なる「濃厚接触者」の対応を中心に情報をまとめました。

◆家族が感染、濃厚接触者−発症すれば「みなし」=

 県内では新型コロナウイルスの新規感染者が今週前半に1日当たり3000人以上、延岡市だけでも300人を超えて過去最多を更新し、なおもピークアウトが見えない状況が続いています。

 延岡保健所では新規陽性者の事務手続きが、その日だけでは追い付かなくなりました。社会維持に欠かせない職種にも感染が広がって、延岡市内では入院患者の受け入れを休止したり休診する医療機関が出ているほか、救急搬送業務にも深刻な支障が生じ始めています。

 一方、現在流行しているオミクロン株のBA・2、BA・5は、デルタ株以前よりも潜伏期間やウイルス排出期間が短く、感染者の大半が無症状や軽症という特徴もあります。

 こうした状況に鑑み、国は社会が機能不全になるのを回避し、社会経済や子どもの教育活動を止めないためにも、濃厚接触者の待機(隔離)期間を短縮できると総合的に判断したのです。

◇陽性者は10日間、濃厚接触者5日間−自宅待機期間

 感染者になった場合の自宅療養期間は陽性が確認された日から10日間で、無症状であれば11日目に解除されます。症状があれば延長されます。

 同居する家族は、原則的に濃厚接触者となります。家族であっても感染者の生活空間が隔離されマスクを常に着用するなど、高度な感染防止策が徹底されていれば対象とはなりませんが、家族全員が濃厚接触者となる世帯がほとんどです。

 濃厚接触者と認められた場合の自宅待機は5日間で、6日目に解除されます(以前は7日待機で8日目に解除)。この間にせきや喉の痛み、発熱などの症状が出た場合は保健所側へ報告することになっており、医師が検査なしで陽性(感染者)と診断します。

 これを「みなし陽性」と言い、感染者数の一定割合を占めるようになってきました。以前は陽性・陰性の確認検査をしていましたが、感染急拡大による医療業務の逼迫や検査キット不足で、国が暫時的に運用しています。

 みなし陽性となった場合、それまでの自宅待機期間に関係なく、改めて10日間待機となり、ほかの同居家族の待機期間も再び5日間にリセットされます。

◇自宅待機最短3日間−承認されたキットで検査し陰性なら解除

 医療、介護、福祉、保育施設などの職員(エッセンシャルワーカー)が濃厚接触者となり、交代要員が確保困難な場合、本人がワクチン接種済みで無症状などの一定要件を満たせば出勤は可能です。

 その場合は抗原検査キットによる毎日の陰性確認が前提で、濃厚接触者になって5日経過後も自分で検温などの経過観察を続ける必要があります。

 一方、それ以外の濃厚接触者でも、起算日から2日目と3日目に「薬事承認された抗原定性検査キット」を用いた検査で陰性を確認した場合は、その時点で自宅待機を解除することが可能になります。乳幼児は検査キットの使用を想定されていないため、5日間の待機が求められます。

 市販の検査キットは種類によって精度がまちまちで、「薬事承認」されているかがポイントですが、現在は全国的に検査キットが不足しており、入手するのは困難です。

◇ハイリスク陽性者が入院拒否し重症化、一方で入院を求める軽症者

 県内各保健所とも、急拡大が続く感染者の対応に忙殺されており、現状では事務手続きを効率化した上で、よりリスクが高い陽性者をいかに早く手当てできるかが命題となっています。

 ですが、一部ではその目的と逆行するような事態もあるといいます。県北を中心とした入院・施設療養の調整役を担う県新型コロナ対策調整本部の佐藤圭創特任医師によると、その一つがハイリスク陽性者の入院拒否です。

 基礎疾患などがある陽性者へは保健所が直接電話連絡し、症状が出たら療養施設や病院を案内していますが、「大したことない」と断り、結果的に重症化してしまうケースが散見されるそうです。

 一方で、無症状や軽症にもかかわらず、過度に心配して入院を求めてくる自宅待機者も増えているといいます。また、感染の可能性が極めて低いのに、受診してPCR検査や抗原検査を受ける市民も後を絶ちません。

 保健所には濃厚接触者や感染者からの相談が多く、業務に支障を来しています。県北の医療態勢は危機的状況にあり、佐藤医師は不明な点があれば年中無休の新型コロナウイルス感染症受診・相談センター(電話0985・78・5670)を利用するよう、強く訴えています。



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