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「命のつながり」を体感

本紙掲載日:2022-08-09
8面
五ケ瀬中等教育学校が行った「命のつながり」の授業
バーベキューで鶏肉を味わう生徒たち

鶏を解体・調理まで−五ケ瀬中等教育学校

 県立五ケ瀬中等教育学校(平和正校長、219人)はこのほど、ニワト解体して食べるまでを体験する「命のつながり」の授業を行った。長年養鶏に携わり、著書も出版している吉川透さん(62)=都農町=ら6人を講師に招き、2年生39人が解体、調理などに挑戦。命の大切さや生産者に対する感謝の気持ちを学んだ。

 さまざまな体験を通して物事を幅広い視点から探求、表現する能力を身に付けるグローバルフォレストピア探求の一環。吉川さんが同校PTA役員だった2012年から始まり、毎年行っている。

 日差しが照りつける中、緊張の面持ちで整列する生徒に対して吉川さんは「動物だろうと植物だろうと命はある。皆さんにやっていただく作業は正直嫌なことだと思う」と前置きした上で、「いつも空揚げやチキン南蛮をおいしく食べられているのは、皆さんが嫌だと感じる仕事を代わりにやってくれる生産者がいるということ。命をもてあそぶことがないように取り組んでほしい」と呼び掛けた。

 授業では、地元の養鶏農家が提供した生後約1年半のブロイラー7羽を、5〜6人の班ごとに分配。講師らのサポートを受けながら「羽を持つ係」「脚を押さえる係」などの担当を決め、恐る恐る包丁で頭を落とした。

 放血や毛抜きが終わると調理室へ移り、吉川さんのお手本を参考に部位別に解体。作業中に卵が出てきた班もあった。その後、肉はバーベキュー、骨は野菜と一緒に煮込んでスープにし、余すところなく完食した。

 参加した岩切詩緒里さん(14)は「命を奪うことはしたくなかったし、見るのもつらかった」と本音。一方、肉はおいしかったと笑顔も見せ「食べている時、ふと生きている姿を思い出して感謝の気持ちが湧いてきた。心を込めて『いただきます』『ごちそうさま』を言いたい」と感想。

 吉川さんは「授業で命を奪うことには賛否両論ある。それでも実際に体験することは、命の大切さや食べ物に対する責任感を身近に感じる上で必要なことだと思う。『誰かがやっているから大丈夫』という考え方はやめてほしい」と話した。

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