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3年ぶりに流れ灌頂

本紙掲載日:2022-08-19
1面
灯籠を流して先祖の霊を供養する流れ灌頂(18日、延岡市亀井橋の五ケ瀬川河川敷)

延岡市仏教会の盆納め行事

◆川面に灯籠、物故者しのぶ

 灯籠を川に流して初盆や先祖の霊を供養する延岡市仏教会(野中玄雄会長、32カ寺)の伝統行事「流れ灌頂(かんじょう)」が18日夜、同市亀井橋下の河川敷であった。約3千人の市民が訪れ、川岸から水面に浮かぶ幻想的な明かりを眺め、先祖や物故者へ祈りをささげた。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、3年ぶりに開催。同所には午後6時ごろから多くの人が詰め掛け、川岸で静かに手を合わせながら、流れゆく淡い光を見送った。

 灯籠は、同仏教会青年部の手で川に浮かべられると、水面(みなも)にゆらゆらと明かりを反射させながら、涼しい夜風に乗ってゆっくりと漂った。

 会場に設置された慰霊所では、同会の住職たちが法要を営んで供養。読谷山洋司市長は「先人の方々が受け継いできた延岡の財産を生かして、市政に尽力していく」と弔辞を述べた。

 また、午後7時40分からは供養花火も打ち上げられ、約80発の花火が夜空を彩った。

 和やかな表情で灯籠を見送っていた日向市の女性(42)は「延岡市に住む彼の父を見送りに来た。生前にお会いしたことがなかったので、ごあいさつをしに来た気持ち」。

 野中会長は「3年ぶりということで待っていた人も多かったのか、例年より人出が多かったように思う。まだ残暑が厳しい中ではあるが、夜は涼しく川風がそよそよと吹いて、み霊もお喜びになったと思う」と目を細めた。

 夕刊デイリー新聞社の編集委員だった秋山栄雄さんの著書「民俗探訪ふるさと365日」によると、流れ灌頂は無縁や迷う霊を供養する「流れ灌頂」と、祖先と初盆の霊を慰め灯籠で送り出す「精霊流し」が重なったもの。川に恵まれた延岡独自の行事で、1926(大正15)年発行の書物に「約90年前に始まった」と書かれていることから、180年以上前の江戸時代から続いていることになる。

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