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県指定無形文化財に指定−県教育委員会

本紙掲載日:2022-09-08
1面
積み重ねた鉄をたたいて溶接する「鍛鉄」(県文化財課提供)
小づちでたたいて刃の部分を作る「火造り」(同)

松葉氏の「日本刀制作技術」−日向市平岩

 県教育委員会は7日、日向市平岩の刀工・松葉一路氏(63)が保持する「日本刀制作技術」について、新たに県指定無形文化財に指定すると発表した。県文化財保護審議会(石川千佳子会長)の答申を受け、8月定例教育委員会で決定した。8日の公報告示後に正式指定になる。

 文化財課などによると、日本刀の出現は平安時代中期以降とされ、日本独自の発展を遂げた鍛錬技術は世界的にも高い評価を受けている。県内でも室町初期から刀工の存在が確認されており、日向国にゆかりのある刀工の作品は日州刀と呼ばれている。

 松葉氏は1959年に日向市に生まれ、83年から刀鍛冶の修行を開始。89年に文化庁から美術刀剣類制作の承認を受けて正式に刀鍛冶となり、同市平岩に鍛刀場を構えている。

 理想とする南北朝時代の名工「備前長船長義」を模範とした作品を公益財団法人日本美術刀剣保存協会の新作名刀展に出品し、11年から4年連続で協会会長賞を受賞。14年には現在までに40人しか存在しない、現代の名工と呼ばれる無鑑査の称号を得ている。

 また、銘に「日州」を記して新たな日州刀の伝統を築くとともに、後継者の養成や教育普及活動にも積極的に取り組むなどしている。

◆民俗文化財に生目神楽

 県教委は同日、「生目神楽」も新たに県指定無形民俗文化財に指定すると発表した。同神楽は、生目神社(宮崎市)の里神楽祭で奉納されている春神楽で、生目神楽保存会(太田原政行会長)が後継者を育成しつつ、継承している。

 同課は、日本刀制作技術を「松葉氏は本県を代表する刀工であり、その刀剣制作技術は貴重な無形文化財」、生目神楽を「宮崎平野の地域的な特色を示す代表的な春神楽であり、貴重な民俗芸能」と評価している。

 正式に指定された後の県指定文化財の合計は227件となる予定。うち県指定無形民俗文化財は30件、県指定無形文化財は1件となる。

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