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巨典の−−故郷は遠きにありて思うもの(19)

本紙掲載日:2022-09-14
8面

今宵のだれやみに乾杯−福岡でも人気宮崎焼酎

◆ビッグイベントで見せた蔵元の愛情−おらが焼酎、熱いセールストーク
県北出身の呑ん兵衛−微力ながら消費のためにお手伝い

 今から約40年前のお話。UMKのアナウンサー採用試験の最終面接で、会場には役員のお偉いさんたちが面接官としてズラリと並んでいました。

 緊張のあまり記憶が曖昧なのですが、黒木重男初代社長から「君は酒を飲むか?」との質問が。とっさに「はい、焼酎なら一升飲みます!」と答えてしまいました。

 ちょっと話を盛り過ぎたと思い、「焼酎は好きですが、飲み過ぎてもヤマイモを掘ることはありません!」と付け加えたところ、黒木社長いわく「ヤマイモを掘るヤツはみんなそう言うとよ!」。面接会場は笑いに包まれました。今考えれば、UMKに採用されたのも「焼酎」のおかげだったのかもしれません。

 さて、福岡に住んで感じたことは、宮崎焼酎の健闘です。霧島、雲海、神楽酒造といった大手以外の、小さな蔵の焼酎にも熱烈なファンがしっかりと付いている、そんな印象でした。

 さらに、近所の飲食店でも、宮崎焼酎を売りにしている店は少なくありません。おかげでうれしくて、うれしくてついつい飲み過ぎてしまいます(笑)。

 今年の夏、プロ野球ソフトバンクホークスの本拠地PayPayドームで、焼酎のビッグイベントが開かれました。宮崎・鹿児島など九州の本格焼酎と沖縄の泡盛が一堂に会したのです。

 会場にはせ参じると、県北の蔵元も出店しているじゃありませんか!

 会場に入り、まず向かったのは日之影町の姫泉酒造のブースです。香り爽やかな夏の芋焼酎「夏茜」。華やかな香り、独特のうま味、甘みで口中がスッキリ。猛暑も和らぐ晩酌になること間違いなしのおいしさでした。

 続いてお邪魔した高千穂酒造の推しは、過去3回も日本一に輝いた「熟成梅酒」。本格麦焼酎に、西臼杵の契約農家の梅のうま味がしっかりと染み出した、なるほどまさにこれぞ日本一の梅酒と感じた次第です。

 そして、延岡の佐藤焼酎製造場からは、麦焼酎「南極上陸・天の刻印」。第61次南極地域観測隊とともに南極に上陸し、隊員の「だれやめ」に貢献した焼酎です。南極でもおいしい麦焼酎は、美味でクールな夏焼酎でもあったのです。

 「うん、どれもうまいねぇ」と試飲を続けるうちに、かなり酔っ払ってしまいましたが、それ以上に私が心酔したのは、福岡の地で県北焼酎をPRする蔵元の皆さんの心意気!でした。

 わが子のような「おらが焼酎」への愛情が、熱いセールストークとなりお客さんを酔わせます。中には、わざわざ東京から訪れた居酒屋の経営者と見事、商談成立した蔵元もあったようです。

 さて、県北産焼酎が持つ酒質のポテンシャルはかなりの高さだと思っています。PRについては、蔵元の若い力がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)も駆使して、おらが焼酎の魅力を知らしめていただきたいと思いますが、私たち福岡在住の県北出身の呑(の)ん兵衛たちも微力ながらPRと消費のお手伝いをさせていただこう、そう決意した2022年の夏でした。

 さて、きょうの残暑も厳しかった!今宵(こよい)のだれやみに乾杯しましょうか!

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