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安井(門川町)県内初の受賞

本紙掲載日:2022-09-23
8面

ヘルスケア産業づくり貢献大賞

◆コウプライト開発・実用化

 医療機器の製造、販売などを手掛ける門川町の安井(堀田道臣社長)が、ヘルスケア産業の発展に取り組む九州内の企業などを表彰する「第9回ヘルスケア産業づくり貢献大賞」で、県内で初めて最優秀賞に当たる大賞を受賞した。

 九州は、人口減少と高齢化の課題先進地域と言われている。そのため、医療・福祉機器や医療・介護サービスなどの分野を含めたヘルスケア産業を発展させる先導的な地域としての取り組みが期待されている。

 こうした現状を受け、企業や医療機関などで構成される九州ヘルスケア産業推進協議会は2013年から、健康寿命の延伸や新たな産業創出などを目的に同大賞を創設。ヘルスケア産業の発展に貢献した取り組みを表彰している。

 安井は、高機能プラスチック製手術器具コウプライトを開発、実用化した取り組みをビジネス創出貢献分野に応募。波及効果や先進性などの基準で書面、プレゼンテーション審査され、応募14件の中から大賞に輝いた。

 コウプライトは、手術時の術野を広げる器具「鈎(こう)」を、人工透析用の容器などを生産するプラスチック成形技術を活用して開発、製品化した同社初の医療機器。14年から研究、開発を始め改良を繰り返しながら約2年かけて完成、販売に至った。

 先端には透明度の高いプラスチックを採用。グリップ部にはコードレスLED照明器を搭載した。照明の光が機器の先端部までを光らせる仕組みで、名称は「鈎」「プラスチック」「ライト」を組み合わせた造語だという。

 こうした機能を備えたことで、従来の鈎が抱えていた▽金属製で重い▽視界を遮り影ができるなどの課題を解決し、術者と患者の負担軽減を実現。20年までに形成、乳腺外科を中心に国内約250施設が導入し、アジアや欧州など海外11カ国にも普及している。

 同社が開発中の医療機器は二つ、販売しているのはコウプライト含めて三つあり、開発部の荒殿剛開発部長は「今後もヘルスケア産業の発展の一助となれるよう、医療現場に必要とされる製品を作っていきたい」と抱負を述べた。

 堀田社長は「医療機器業界に参入して約45年。こうした評価をいただき、大変光栄」と喜び、常に進化を求められる医療機器について「新たなニーズを取り込みながらより良い製品を作り、人の命を守る手助けになれば」と話した。

 荒殿開発部長は17年、このコウプライトを開発したとして、野口遵顕彰会が地域産業活性化に貢献する新技術を研究開発した人に贈る「野口賞」を受けている。

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