尚学館高等部生の歌１０首

本紙掲載日：2021-03-18

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牧水賞・谷岡亜紀さんが講評

　第２５回若山牧水賞を受賞した歌人谷岡亜紀さんが、延岡学園尚学館高等部で行った講話の中で紹介した自作の歌と牧水の歌各３首、講評した生徒の歌１０首は次の通り。

　谷岡さんは高知県生まれ、神奈川県在住。１９９４年、歌集「臨界」で第３８回現代歌人協会賞など受賞多数。牧水賞を受賞した歌集「ひどいどしゃぶり」（ながらみ書房）は第５歌集。

◆受賞歌集「ひどいどしゃぶり」から－谷岡亜紀
台風の目を掠めつつ飛行士は寒い虚空へ旅立ちゆけり
ひさかたの宇宙飛行士（アストロノート）のため点すひとつ火のあり夜の地上に
帰還事故ののちも軌道を回りいる宇宙飛行士（アストロノート）のブーツを思う

◆若山牧水の歌
吾木香（われもかう）すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ
やさしくばすねけり人のつれなくば恨める秋のこの子いかにせむ
この手紙（てがみ）赤き切手（きって）をはるにさへこころときめく哀（かな）しきゆふべ

◆生徒作品１０首選
１年髙島啓太・何個でも手が黄色くなるでも食べる今年の冬も年越しみかん
１年堺屋雄堂・休み時間喧騒の中読書する君の姿で魔法にかかる
１年柳田朋郁・出会ってもマスクで見えない君の顔君の素顔に想いを寄せる
１年望月颯太・黒板のありをりはべりの文字を見て声には出せずコロナ禍の冬
１年福田圭芳・アラームと母の怒声が交互して布団が私を離してくれない
２年佐藤晏示・さみしいよいつも一緒にいた日々が離れたくない姉への気持ち
２年黒川マイケル・ボワワンとランプから出たジニーさんまたあのころに時を戻して
２年栁田莉佳・カンカンと彼方に消える工事音心がゆれる黄昏時に
２年佐久間美月・ランドセル隣りに並べた幼き日違う制服つながるＬＩＮＥ
２年池田瑛里奈・後頭部まあるいかたち愛しくてずっと見てたいあなたの姿