競泳指導４５年、久世さん引退

松田さんを育てた名コーチ

　アテネ五輪から４大会連続五輪出場を果たした松田丈志さん（３６）を育て、指導者として４５年間にわたって尽力、本県競泳界のレベルアップに貢献した延岡市の久世由美子さん（７４）が３月末で指導人生にピリオドを打った。

　旭化成で競泳選手として活躍し、東海スイミングクラブで指導。４歳でクラブに入ってきた松田丈志さんを指導。五輪４大会に出場して銀メダル、銅メダル３個を獲得する選手にまで育て上げた。自身もロンドン五輪の日本代表チームのコーチも務めるなど、松田さんのコーチとして数多くの世界規模の大会に参加した。

　４日は、東海スイミングクラブ解散後にコーチを務めていた延岡市大門町のビートスイミングクラブでお別れ会があり、子どもたち、スタッフ、保護者らがこれまでのコーチとしての実績をたたえた。

　参加した人たちは、「将来選手を引退したら、久世コーチのような熱い指導者になりたい」「教えは水泳だけでなく、引退してからも生かすことができた」などと感謝した。サプライズとしてこれまで指導を受けた約１００人がバラの花を１本ずつ手渡し、それぞれが指導に感謝、長年の労をねぎらった。

　久世さんは「オリンピック４大会に関わらせてもらったことは自分の財産。夢を持たせてもらった子どもたちに感謝したい」とこれまでを振り返り、「ホッとしている」と話していた。

　久世さんは１９６５年に旭化成工業（当時）入社。実業団で活躍し、７７年に退社した。その後は延岡市内で水泳指導。東海スイミングクラブには７９年から関わってきた。指導者としての活躍で、２０００年に女性初の県スポーツ特別賞、五輪貢献で文科大臣表彰など、これまで多数の賞を受けた。さらに１６年には県民栄誉特別賞の松田さんと共に特別功労賞を受賞。松田さんを２８年間も指導し、世界的な選手に育て上げたことをたたえられている。