天然ヒジキを収穫

須美江湾・大潮の干潮狙い−延岡

　延岡市須美江町の須美江湾で２６日、天然ヒジキの収穫作業が行われた。許可を持つ市漁協浦城支所の組合員が、潮位が最も下がる大潮の干潮時を狙って地磯に入り、波になびくヒジキを鎌で手際よく刈り取った。

　板を重ねたような岩場が連なる同湾はヒジキが広く生育し、収穫作業は毎年この時期恒例の風景。だが、１０戸以上あった生産組合員数は２戸まで減少し、今年初の刈り取りは前年より半月ほど遅い今月中旬だった。

　さらに、水質が良くなりすぎて、以前は大人の背丈ほどあったヒジキが近年は１メートルに届くかどうかまでしか成長せず、ウニの食害も拡大。それでも組合員の女性らは、和気あいあいと刈り取りながら、用意した籠を次々といっぱいにしていた。

　湾で収穫したヒジキは漁船に積み込んで集落近くまで運び、付着物を除去。一度天日干ししてから水に戻して塩抜きし、大釜で２時間炊いた後、再び天日干しするが、均等に日が当たるよう、ほぐしたり混ぜたりする工程を何度も繰り返すという。

　乾燥させてからも、目を凝らしながらピンセットで微少な異物を取り除く細かな作業を続けるなど、日数と手間をかけてようやく完成。須美江産ヒジキは良質だが、歩留まりは１００キロ収穫してわずか７キロ程度と希少なためあまり市場には出回らず、道の駅「北川はゆま」と同市恒富町のＪＡ直売所「ふるさと市場」のみで販売するという。

　組合員の女性らによると、煮物だけでなく、サラダに交ぜたり、カボチャやイモとのかき揚げ、ハンバーグ、ふりかけにしてもおいしく、「何とかゴールデンウイークまでには最初の分を出荷できれば」と話していた。