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日之影町、65年の歴史に幕

本紙掲載日:2021-05-01
1面
閉庁式で看板を外した佐藤貢町長(左)と一水輝明町議会議長
65年の役割を終えて閉庁した日之影町役場庁舎(同町岩井川)

看板外し、庁舎と先人に感謝

 「ありがとう。ご苦労さまでした」――。6日から新庁舎で業務が始まるのに伴い、日之影町岩井川の町役場庁舎で30日、閉庁式が行われた。大型連休で5日まで休みとなるため、現庁舎は30日で役目を終えた。役場職員や町議会議員ら約100人が長年、町政の拠点だった庁舎に感謝と別れを告げた。

 役場庁舎は、1955年1月に前の庁舎に火災で全焼した後、翌56年1月に建設。その後、増改築を経て現在の姿になった。

 熊本地震が発生した2016年度の耐震診断などで耐震性に問題があり、補強工事も難しいとされたため、住民アンケートなどの結果を踏まえて同町七折宮水地区への移転新築が決定。新庁舎は今年1月末に完成した。

 庁舎から有線で放送していた正午と午後5時の時報も30日が最後。閉庁式は、午後5時を告げるサイレンが鳴り終わるのを出席者が聞き終えて始めた。

 佐藤貢町長は「この日之影町役場を中枢として、先輩方が公務を執りながら町の発展に尽力してきた」。町議会の一水輝明議長が「庁舎は町政の拠点として町民の暮らしを見守り、災害に耐えて頑張ってくれた」などと町の先人や庁舎に感謝。佐藤町長と一水議長が庁舎玄関に掲げられていた看板を外して、65年の歴史に幕を下ろした。

 高校卒業後の1975年に町役場へ入庁した工藤裕士副町長(64)は、かつてストーブやプロペラで庁舎中に温風や冷風を送っていたことなどに触れて「18歳で入庁して以来、ここで歴代の町長と仕事をしてきた。閉庁は感慨深いものがある。時報のサイレンを聞いて涙が出そうになった。庁舎にはお疲れさん、ありがとうと伝えたい」と話した。

 この旧庁舎については、町と中央地区活性化協議会が利用方法などについて検討中。新庁舎では6日午前8時15分から開庁式を行い、同30分から業務をスタートする。

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