旅する絵本、人から人へ

延岡から１０冊が旅立ち

　１冊の絵本が旅をするように人から人へと手渡され、新しい物語や出会いをつむぐ「みなみのくにの旅する絵本」の旅立ちイベントが６月２０日、延岡市幸町の駅前複合施設エンクロスであり、第１弾となる１０冊が旅立った。

　「旅する絵本」は、絵本を通して幸福度の高い社会づくりを考える団体「えほん未来ラボ」（所在地非公開）が、「買う」でも「借りる」でもない新たな社会実験として２０１９年１２月にスタート。その後、感銘を受けた東京都町田市の有志が昨年８月、地域版として「まちだ旅する絵本」を立ち上げている。

　今回の「みなみのくにの―」は、元門川町立図書館長で絵本セラピストの松田朝子さん（６６）＝延岡市北一ケ岡＝が発起人となり、エンクロスの協力を得て実行委員会を組織。全国３カ所目の取り組みとして、宮崎県内をエリアに活動をスタートさせた。

　この日は、第１弾の送り手となる９人が参加。３月に製作した専用の木製トランクと、自分にとって大切な絵本をそれぞれ持ち寄り、トランクに絵本のタイトルを記入したタグを取り付けたり、絵本の表紙に「みなみのくにの―」のロゴシールを貼るなどして旅立ちの準備を整えた。その後、この日参加できなかった送り手１人の絵本を含む１０冊を互いに手渡し合い、旅立たせた。木製トランクの他、専用の布バッグに入れられて旅立った絵本もあった。

　１冊の絵本から１２人のつながりが生まれる仕組みになっており、受け取った人は絵本を楽しんだ後、「旅の記録カード」に読んだ感想などを記入し、フェイスブックやインスタグラムなどの専用ＳＮＳ（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）に投稿。受け取ってから２週間以内に次の人に手渡していき、１２人目で旅は終わる。絵本はいったん送り手の元へ戻され、そして再び、新たな旅へ出発する。

　実行委員会では今後も送り手を募り、第２弾、第３弾と続けていく計画。問い合わせはエンクロス（電話延岡２０・３９００、担当＝鈴木さん、橋本さん）へ。