優勝候補に一泡－門川

本紙掲載日：2021-07-14

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【２回戦・門川―宮崎商】門川は初回、甲斐枢の右前打で３走廣瀨が先制の生還

第１０３回全国高校野球選手権宮崎大会サイド

◆観客沸かせる大健闘

　第１シードに挑んだ門川の結果は、秋、春に続くコールド負け。だが優勝候補を本気で慌てさせ、３─１１となった最後の攻撃前もベンチから「ここからだ」─。「同じ大敗だが、初めて最後まで諦めなかった。成長を感じた」。前半の大健闘は観客を沸かせて、最後の姿は冨永監督の心を震わせた。

　綿密な準備に応えた。相手は選抜でも好投した右腕。冨永監督は十分に分析した上で、直球を積極的に狙うよう指示した。

　先頭の初球から。「打つと決めていた」。廣瀨が左前に運ぶと、勢いに乗る。ボールになる変化球を見極め、直球は思い切り。甲斐枢の右前打、稲見の中犠飛で２点を先制し、球場の雰囲気を変えた。

　積極性は守備でも。「信頼を感じていたし、自分も野手陣を信頼していた」。先発の甲斐枢は九州でもトップ級の相手中軸を恐れない。注文通りの飛球を、敷いたシフトの網で絡め取った。ピンチは再三だったが、「ゆっくり行こう」。ナインと確認しながら、一つずつアウトを重ねた。

　５回までは食らい付いたが、２本のスクイズなど、なりふり構わなかった宮崎商。六回は不運な安打も続き、最後は甲子園を目指すチームの執念に押し切られた。

　最終回、ベンチに響いた「しっかり最後までやりきるぞ」という声、姿勢に、指揮官は「１、２年生に伝わったと思う」。甲斐枢は「相手から『門川だったら勝てる』と思われてきたが、最後までみんなで気持ちを高めて、宮商に勝てたかもと思える試合ができた」。新たな歴史につながりそうな悔し涙だった。

◇悔いはない－稲見（主将。２点目の中犠飛）
「勝つ自信があり、それを信じてやってきて悔いはない。負けはしたけど楽しめた。（救援した２年生の）畑中はこれまでチームを支えてくれた。切り替えてこれからまた仲間を救えるように頑張ってほしい」

◇打ててよかった－廣瀨（初回に先頭で初球を左前打）
「最初から打つことを決めていて打席に立ち、打ててよかった。先制で気分が楽になったことが、集中した守備につながった。みんなと野球をやってきて、つらいこともあったけど３年間楽しめた」