延岡商業高校創立１００周年思い出座談会（２）

本紙掲載日：2021-10-30

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――学校周辺の景色もだいぶん変わったのではないですか。

【髙田】当時は家なんてなくて、田んぼばかりでした。雨が降ったら膝下までつかっていました。だから自転車で来られなくてバスで来る。タイヤの半分くらいつかっていました。それ以外は稲葉崎の山の細い道を通って来ました。雨が降ったらどうしようかと思っていました。バスは満員で乗れない。自転車を押して登校しました。

【浅田】山土で自転車に泥がたまって動かなくなり、女の子はひっくり返るんです。僕たちもやっとでした。右側は全部田んぼ。両サイド水浸しで、井手（用水路）の方は全然通れなかった。大変でした。

【髙田】道が悪いからしょっちゅうパンクするんです。１日に何台も。だからパンク修理担当の者がおって、女の子たちの修理をやるんです。おらんとどうにもならんのですよ。「お前何しよっとか」って聞くと「パンク修理部」って。２、３人でしてましたがね。女の子たちにモテてね。

――ずっと部活動が強いイメージがあります。

【髙田】私の時はほとんどの運動部の顧問がその競技のことを知らない人でした。知っている先生がいないから。だから運動関係が強くなるはずがなかった。体育の時に野球したら先生が三塁側に走って。「先生違う、こっちって」。その先生が野球部の監督になりました。

【浅田】（８回生の）私たちの頃にようやく学校らしくなって。２代目の梁瀬鶴美校長は県教委から来て。後から聞いた話ですが、新しい学校は何かで光らせないといけないってスポーツに力を入れたと聞いています。それなりの先生を呼んだと。バスケットボールも相撲も国体に行くなど強かったです。

――現在は進学する生徒も増えています。

【井本】ほとんどが就職で進学はそんなにいなかった。

【髙島】阿南先生が日本全国、どこでも就職させていました。大手銀行で支店長を務めた人がいるなど、優秀な人が多かったですね。就職率も良かったです。

【浅田】地元の銀行からも求人が来ますが、みんな都市銀行を選んでいました。給料が高かったから。正門の掲示板に求人票が貼ってあって、みんな給料を見て、給料のいいところを受けていました。

【富士持】私の時は進学もいました。１割くらいかな。

【井本】自分たちの時も１割くらい。今は大分、宮崎、筑波大などの国立も多いです。

【富士持】私たちの時代は「大学げなー」という感じだったけど、１０年くらい前に用事で職員室に来たら生徒が有名大の願書を持って来ていて。「え、（自分は今）商業に来ているんだよね」って驚きました。

――今後の延岡商業への思いなどをお聞かせください。

【髙島】（少子化などで）入学者が少なくなっていると聞き気になっています。自分たちにはどうにもできないけど、どうにかならないかなって、そればっかり考えています。

【浅田】私たちの時代と違い、各企業いろんな業種でＡＩが使われるようになり、ＡＩロボットが代わりに仕事をして人間はいらないという会社も出ています。どうすればＡＩよりも人間じゃないと駄目だと思われるようになるのか分かりませんが、そういう方向にやっていかないといけないのかなって思います。

【野村】先日、野球の九州大会予選のメンバーを見ていたら１１人しかいなくて、１人２人けがしたら棄権しないといけない状況。そこが寂しいです。母校がなくなるのは寂しくて、残念なことなので、これからも商業高校の名前が残り続けてほしいです。

【井本】ＰＴＡ役員として学校行事など子どもたちと触れ合う機会がいろいろあり、すごく素直な子が多いなと思いました。勉強も大切ですが、実践の高校ですから、私たちＯＢ、ＯＧが学校に行きやすい雰囲気づくりを一緒にやっていければと思います。

【髙田】チャレンジショップ「和（なごみ）」の生徒たちが隣近所の人たちにもあいさつしますし、素晴らしい。本当にいいことだと思います。あいさつはどこにいっても大事だと思うので、忘れないように。あいさつから始まれば物が言えるようになります。
商業高校はいつまでも続いてほしい。娘も、亡くなった家内も商業卒です。商業生は多いと思います。どこにいっても「私も商業です」っていう人がいます。商業、というだけで親しい感じがあります。

【富士持】同窓会の役員になって学校行事に参加するようになり、生徒の対応が私たちの時と全然違うと思いました。より実践的になっているし、受け答えもしっかりしている。商業高校だなってつくづく思います。伝統を今後に残してほしいです。そして甲子園を目指せるような、全国に延岡商業と大きく名前が出るような高校になったらいいなと思います。

◆ごあいさつ－大迫良三・新制第２２代校長

　本校は創立から現在まで、戦前、戦中、戦後の混乱を乗り越え、激しく移り変わる時代の中で、常に県北地区の商業教育の名門校として、数多くの有為な人材を輩出し、本県はもとよりわが国の産業界の発展に大きく貢献してまいりました。本校の卒業生が存在感を示している職域は広く、すべての産業分野で幅広く活躍されています。

　商業高校が担当するビジネスの分野はすべての産業に共通して存在する、なくてはならない知識と技術だと考えます。そのため本校卒業生の進路は他の工業、農業、水産の各高校に比べて広く、どんな産業分野でも身に付けた専門の知識と技術が生かせると思うところです。

　節目の年を迎え、大きな学科改編を行います。今までの学びの継承と新たな学びの創造がキーワードです。生徒職員一同、スクールミッションのキーワードに掲げる「ビジネスの視点を備えた職業人の育成」「集団の中で輝く個性の伸張」に努め、商業に関する専門教育を担い、地域社会や保護者のニーズに応えるべく、日々取り組んでいるところであります。

　旧制商業学校の「士魂商才」の精神を受け継ぎ、「質実剛健」「堅忍持久」「勤労愛好」の校訓のもと、「栄光は君に挑戦せよ！延商生」をスローガンに文武両道を目指し、活気ある教育活動を展開する決意を新たにしなければならないと考えています。今後ともご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

◆１１月６日、記念式典と講演
　ネットで配信講師は佐藤寿美さん（延岡市出身）

　記念式典は１１月６日午前９時３０分から、延岡市東浜砂町の延岡総合文化センターである。新型コロナウイルス感染症対策で人数を制限するため、一般の入場はできない。

　これまでの歩みをまとめたスライドショーや生徒によるダンス、神楽のアトラクションに続いて式典を実施。記念講演では、延岡市出身で県立芸術劇場理事長の佐藤寿美さんが「忘れられない言葉、伝えたい言葉」と題して話す。

　式典の様子は当日、動画配信サービス「ＹｏｕＴｕｂｅ」で配信する。