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県域JA、来年4月発足−県北3JA組合長に聞く(上)

本紙掲載日:2023-10-10
1面
JA延岡楠田富雄組合長

JA延岡楠田富雄組合長−「協同」「連帯」を強固に

 JA宮崎中央会は2日、2024年4月1日に県内13のJAを統合した「宮崎県農業協同組合」を発足させると発表した。同日開かれた合併の是非を問う臨時総会で、全JAが承認したことを受けての発表。中央会、県信連、経済連の3団体も宮崎県農業協同組合の発足から1年以内に統合される。

 組合員の高齢化、後継者不足による耕作放棄地の増加、生産資材の高騰など、農業を取り巻く環境は厳しい。農業の未来を切り開き、農業生産基地としての宮崎を存続させるために、県下のJAは大きな決断をした。

 県北の3JA(JA高千穂地区、JA延岡、JA日向)でも、合併とそれに関連する議案を賛成多数で承認。それぞれが今年度末で単独のJAとしての役割を終える。

 2017年に県域JA構想が持ち上がって6年、決断のかじ取りを担った3人の組合長に、合併と新たな組織に託す思いを聞いた。



−−農業協同組合(JA)は、長い歴史の中で合併を重ね、地域的に統合されてきた組織です。県域JA構想はその大きな区切りになると思います。

日本では1948年に農業協同組合が発足しました。当時の延岡市においても、14の農業協同組合が発足しましたが、社会情勢や営農環境の変化に伴って合併を繰り返し、1990年には延岡市農協と延岡農協が大同合併して現在に至っています。
これまでのいずれの合併も、その時代に合わせた環境下で地域の組合員、農業、農地を守っていくための手段でした。
私たちの住む延岡でも世界情勢の影響をリアルタイムで受けるようになった中で、より大きく強固な「協同」と「連帯」が求められています。そのような意味でも、JAグループ宮崎が一つになる、今回の県域JA構想は大変意義があり、大きな区切りになると考えています。

−−組合員へ説明期間はいつごろからでしたか?その間の反応はどうでしたか。

JAグループは2018年7月から県内の組合員代表者との意見交換会を行い、JA延岡管内からも各組織・部会の代表者の方々に参加していただきました。
JA延岡としても毎年行われる通常総代会や総代座談会などで説明し、今年度は6月から9月にかけて支店別・地区別計83会場で説明会を行ってきました。
意見としては、組織が大規模化することへの不安や、利便性の低下を懸念する声もありましたが、それらを可能な限り払拭(ふっしょく)する経営計画であることを説明し、理解を求めました。
農家の高齢化や担い手不足により地域農業が衰退することを危惧するご意見も多く、JAとしての機能発揮をさらに高度化していく必要があると強く感じたところです。

◇統合のスケールメリット生かす

−−組合員(准組合員含む)や消費者へのメリットはどうでしょう?

今回は中央会、経済連、信連の三連合会まで含めての合併であり、全国でも初となります。それにより経営と財務基盤が強化されることはもちろんですが、何よりJAグループが一つの組織になることで、すべての事業でより一体となった取り組みが可能になります。
特に近年では資材・燃料価格が高騰し、農業経営を圧迫していますが、それに向けた支援対策も、これまで以上に可能となりますし、組織の大規模化によるスケールメリットの創出により、組合員への資材供給価格の低減・農産物の販売拡大と価格の安定化につながるものと考えています。
地域の皆さまが安心して暮らせるためには「食」の安心・安全、いわゆる「食料安全保障」の確立が基本であり、「農業」はその基盤です。
今回の合併により、統合メリットを生かした支援機能を十分に発揮し、引き続き地域農業の維持・振興に取り組んでまいります。

−−組織風土の違いや待遇など、軌道に乗るまでの課題もあると思います。

これまで多くの組合員の皆さまから頂いた意見を元に、想定される課題への対応策を含めて検討してきました。合併直後は「地区本部制」を敷き、これまでとほぼ変わらぬ運営を行うこととしています。その間に一つ一つの問題を整理し、県域JAへのスムーズな移行を目指して取り組んでいきたいと考えています。

◇地域に寄り添った事業展開

−−JA延岡としては、今後、どのような特色を打ち出していきますか。

延岡は中山間地域を抱えており、農業を営む上では決して恵まれた環境にあるとは言えません。ですが、先人の方々が築き上げてきた延岡の農業生産基盤をこれからも継承しつつ、一方で農業生産の効率化を積極的に進めていかねばなりません。
また「ふるさと市場」のような、生産者と消費者の懸け橋となり得る新たな販売チャンネルについても検討していきたいと考えています。

−−そのほか、考えがありましたら聞かせてください。

県域JAになっても、農協の基本理念は変わりません。あくまで「地域密着」を基軸として、組合員・地域に寄り添った事業展開に努めてまいりますので、引き続き関係する皆さまの、ご支援・ご協力をお願い致します。

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