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冬の風物詩、延岡合宿−部屋廃止でやむなく終了
◆19年を最後に−大相撲ファン「残念」
冬の風物詩として市民に親しまれていた大相撲東関部屋の延岡合宿は、3月で同部屋が廃止となったため、2019年が最後となった。昨年は新型コロナの感染拡大を受けて見送られたため、「21年の今年こそは」と期待していた延岡のファンには残念な知らせとなった。
19年12月に先代の東関親方(元前頭潮丸関)が死去。部屋付き親方だった振分親方(元小結高見盛関)が部屋を期限付きで継承。延岡合宿も続けられるものとみられていた。ところが、一門である八角部屋への吸収が決まり、外国人力士の草分け元関脇高見山関(高見山大五郎)が開いた東関部屋は36年の歴史に終止符を打つことになった。
延岡合宿は、先代の東関親方と大貫町の医師榎本雄介さんとの友情が縁で始まった。
榎本さんが実行委員長になり、09年から10年連続11回も開催され、定着した感もあったことから、12月の合宿は延岡の大相撲ファンの楽しみとなっていた。ファンの中には体験入門で毎年のようにまわし姿で土俵に上がる人もいたほど。
力士たちもそれに応え、西階運動公園の特設土俵で早朝から激しい稽古を披露。ファンをうならせ、稽古が終わってからは、ちゃんこ鍋の振る舞い。また、市内の高齢者施設や幼稚園、保育園の訪問も喜ばれていた。
週末に見学にやって来た野球少年たちにも人気だった。力士がしこの踏み方を教えたり、力士を夢見る中学生に先代の親方はてっぽう、すり足を自ら教えたりと、かわいい子どもたちに目を細めていたほどだった。
さらに話題を呼んでいたのが、合宿最終日の市民交流パーティー。打ち上げを兼ねて開催され、多くのファンが毎回参加し、互いに楽しいひとときを過ごしていた。
18年の合宿の時には、巡業の大相撲延岡場所と開催が前後し、延岡出身の琴恵光関(佐渡ケ嶽部屋)の人気もあって、それまでにない注目を集めて盛り上がった。延岡場所には、東関部屋の全力士が出場して力強い取組を披露。盛んな拍手を浴びていた。
もともと延岡は大相撲に縁のあるところ。舞野町出身の元立行司35代木村庄之助(本名内田順一さん)や琴恵光関、そして琴恵光関の祖父で立浪部屋の十両力士だった松恵山(故柏谷邦治さん)、戸田の本名で土俵に上がり、当時の横綱大鵬の連勝記録をストップさせて話題を呼んだ元小結羽黒岩(故戸田智次郎さん)を輩出するなど、長いこと大相撲の歴史をつむいできた。
それだけに、身近に相撲を感じることができていた延岡合宿が、なくなるのは寂しいと感じるファンは多いはずだ。加えて、人気だった高見劉さん(幕下)が1月場所、華王錦さん(三段目)が3月場所を最後にそれぞれ引退したことも寂しさを募らせることになった。
先代東関親方と親交があり、合宿誘致に尽力した実行委員会の榎本委員長は「これまで合宿を開催・継続できたのは、市民の皆さまや関係各所、協賛をいただいた事業所の皆さまのおかげです。終了は残念であり痛恨の極みであり、長年にわたり応援していただいた皆さまには心よりおわび申し上げます」。
「相撲はまちに元気をくれます。人々に力を与えてくれます。すべての人を笑顔にして、幸せを運んでくれると信じています。これまで合宿に尽力してくださった皆さまのすべてに改めてお礼を申し上げます。これからもご縁のあった親方や力士たちへ、変わらぬご声援をくださいますよう、お願い申し上げます」とこれまでのお礼とともに感謝の言葉を述べていた。