土砂災害から身を守る

本紙掲載日：2021-07-06

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模型を使って実験をする生徒（６月２８日、美郷町北郷の美郷北学園）

模型を使った実験で土石流の流れを体験する児童たち（６月３０日、延岡市立港小学校）

小中学校で防止教室

◆日頃の備えと早めの避難－県職員が訴え

　土砂災害から身を守るための防災意識の普及、啓発を図ろうと、小中学生を対象にした土砂災害防止教室が６月２８、３０日、美郷町北郷の美郷北学園（前田佳郎校長）と延岡市の港小学校（山下力校長）でそれぞれ開かれ、児童が土砂災害が起こるメカニズムや、日頃の備えの大切さを学んだ。教室は６月の「土砂災害防止月間」にちなみ、日向土木事務所、延岡土木事務所が各学校で開いた。

◆「まずは危険な場所を知って」－美郷北学園

　小中一貫校の美郷北学園では、中学生４０人を対象に開かれた。

　講師は、日向土木事務所河川砂防課の山本健太朗さんら職員３人。

　山本さんは、土砂災害には大きく分けて①崖崩れ②土石流③地滑りの三つがあると紹介。このうち、土石流については「山から崩れ落ちてきた土や石が水とともに強烈な勢いで流れ落ちてくる災害で、時速５０キロにもなる」。また、地滑りについては「緩やかな斜面が広範囲にわたって動くことで大きな被害が出る」などと説明した。

　この後、町内のハザードマップを基に、生徒たちは土砂災害が発生する可能性のある危険箇所や自宅から最も近い避難場所などを確認。また、学校周辺の航空写真を使って崖崩れと土石流が発生する可能性のある場所を示し、「まずは危険な場所を知る。普段から気象情報に注意し、早めに避難することが大切」と呼び掛けた。

　模型を使った土石流と土砂崩れの実験もあり、生徒たちは発生のメカニズムについても学習。ビー玉を水や土砂に見立て、砂防ダムが決壊する様子や山の斜面が崩壊する様子を観察。住宅地などがある下流部がどうなるかを確認していた。

　学校近くに住む２年生の黒木凛太郎さんは「自宅周辺には危険な範囲を示す色は付いていなかったけど、家の裏に山があるので、万が一のことを考えた。教室を機会に、家の人と危険が迫った時にどうするかを話し合っておきたい」と土砂災害への心構えを新たにしていた。

◆「土砂災害は人ごとではない」－港小

　港小学校では、全校児童１８人を対象に開かれた。

　延岡土木事務所の職員が講師として訪れ、崖崩れ、土石流、地滑りの災害について、スクリーンでそれぞれの記録映像を上映、児童たちに災害の怖さを語った。

　また、２０１９年度は全国で１９９６件、県内で３９件の土砂災害が発生したことに触れ、「土砂災害は人ごとではない」と強調。その上でテレビやラジオの情報に注意したり、避難場所を事前に決めたりなど日頃の備えと早めの避難の大切さを呼び掛けた。

　クイズや模型を使った土石流のシミュレーション実験もあり、土砂災害が発生しそうな時は迷わず逃げること、日本は雨量が多く崩れやすい山が多いこと、土石流のスピードは自動車と同じくらいということなどを解説。児童たちは楽しみながら土砂災害への理解を深めていた。

　５年生の矢野壮真さんは「模型の実験が印象に残った。これから大雨が降って、土砂災害が起きそうな時は早めに避難したい」と話した。

　土砂災害防止教室は、日向土木事務所管内では門川町の五十鈴小学校と日向市の坪谷小学校でもあった。