西臼杵３公立病院−経営統合が望ましい

公立病院部会３町長に報告

　２０１９年２月に設置され、西臼杵郡（高千穂、日之影、五ケ瀬町）の３公立病院の在り方を検討してきた延岡西臼杵地域医療構想調整会議内の西臼杵地域公立病院部会（部会長・植松昌俊西臼杵郡医師会長、７人）は５日、「一部事務組合による経営統合を早期に実現することが望ましい」などとする検討結果を３町長に報告した。同日に高千穂町役場で植松部会長が甲斐宗之高千穂町長、佐藤貢日之影町長、原田俊平五ケ瀬町長に報告書を手渡した。

　報告書によると、３病院とも現在、他会計繰入金を必要とするなど経営は悪い状態。入院・外来患者や常勤医師数の減少などを反映させた報告書の「縮小シナリオ」によると、２０４０年までに日之影、五ケ瀬町の２病院について「経営を維持することが困難になる」としている。

　こうした現状を受けて、報告書では「西臼杵郡の地域医療を長期的に存続させる」という共通のゴールに向けて、複数の地方公共団体などが、行政サービスの一部を共同で行うことを目的に設置する一部事務組合による運営方式を提言している。同方式には、集患効果の高まりやコスト削減による病院経営、３病院共同での医師や病院職員らへの採用活動などのメリットがあるという。

　また、入院医療機能の再編にも方向性を示している。高千穂の病床は急性期−回復期に特化して日之影は慢性期に転換し、五ケ瀬は介護保険施設としての機能強化を図りつつ一般病床も残す。再編案では、現状維持と比べて必要な繰入金は減少すると試算している。

　植松部会長は「３町には報告書の内容を踏まえ、西臼杵郡の地域医療を長期的に存続させるための取り組みを行ってほしい」とあいさつ。甲斐宗之高千穂町長は「人口減少が進む中、いかに地域医療を持続可能な形にしていくかという強い使命感を持っている。地域住民、病院現場の職員、議会とも議論を重ねていきたい」と話した。

　今後、各町は今月下旬ごろから住民説明会などを開催。３町長が最終的に判断し、１０月に「西臼杵地域における医療連携に係る基本構想」を策定する予定。