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行縢、上三輪町一帯に
◆氷の粒、車庫の屋根打ち抜く・延岡
14日夕方、延岡市の行縢―上三輪方面の広い範囲でひょうが降り、樹脂製の屋根に穴が開く被害も確認された。宮崎地方気象台によると、週末にかけても不安定になりやすい気象条件が続く見込みで、大雨や落雷、突風などに注意を呼び掛けている。
県北は14日、日中は強い日差しが降り注いで、気温が五ケ瀬町鞍岡で今年最高の31・5度まで上がるなど、各地とも真夏日を記録。一方、湿度も高い状態が続いたため、積乱雲が発達し、夕方は雷を伴う強い雨となった。
延岡市上空には午後4時ごろから雲が広がり、たたきつけるような雨と雷鳴が継続。行縢町や高野町、舞野町などの南方地区や、五ケ瀬川を挟んだ上三輪町では、午後5時半ごろから15分近くにわたり、ひょうやあられが降っていたことが分かった。
このうち、行縢町の緒方裕而さん(67)方では、車庫などにしている硬質塩化ビニール製(畜舎波板)のひさし屋根に無数の穴が開く被害が発生。緒方さんによると、激しい雷雨の中、午後5時35分に突然、自宅屋根からバラバラと何かが大量にぶつかる音が響き、外を見るとゴルフボール大のひょうだったという。
ひょうは15分の間降り続いて、ひさしの下に止めていた軽トラックにも所々にへこみ傷が残り、緒方さんは「40年住んでいるが初めて。屋根は古かったが張り替えるのは大変」と肩を落としていた。
県むかばき青少年自然の家でも同時刻ごろにひょうが降ったのを、職員がスマートフォンで動画撮影。公用車の被害を避けようと慌てて移動させたが、ひょうは高野町方面まで3キロほど走行する間降り続いたという。
舞野町のなるたき保育園でも2センチ大のひょうが降るのを職員と園児が確認。高野町からも、ひょうが降ったとの情報が寄せられた。
◆屋根の音、ザーザーからカンカンに
月に20日間ほど行縢町内に滞在して農業を営んでいるという福岡県在住の70代男性は、「作業場にいた午後5時ぐらいから激しい雨の音に気づいた。トタン屋根の音が『ザーザー』から『カンカン』に変わったので、外に出てみたら約2センチ大のひょうだった。30分ほど降り続いたと思う。めったにないことなので驚いた」
◆「まるで製氷機の氷」−上三輪町の男性・4センチ大の粒
延岡市上三輪町でも14日夕、4センチ大のひょうが降った。同町在住の68歳男性は「形こそいびつだが、冷蔵庫の製氷機の氷がそのまま降ってきたような、そんな感じだった」と語る。
男性によると午後5時40分ごろ、突然、ガチャガチャガチャガチャ――という大きな音が聞こえた。自宅の室内にいた男性は何事かと驚き、窓から外をのぞいたところ、空から氷の粒がバラバラと降っていた。庭の地面や止めていた車のルーフなどにぶつかり、20〜30センチ高さに跳ね上がっていたという。「とにかくすごい音で、外に出てみようとは思わなかった」
ひょうは5〜8分ほどで降りやんだ。落ちていたひょうを拾い上げてみると、大きいもので直径は4センチを超えていた。その時間、上空は曇り、雷が鳴っていた。空気は少し肌寒く感じるほど冷えていたという。
◆ひょう、積乱雲の中で発生−竜巻情報発表時など気を付けて
ひょうは激しい上昇気流を持つ積乱雲内でできるので雷と共に発生する場合が多い。
宮崎気象台によると、14日は、県北上空5500メートルには氷点下8度、同1万メートルには同30度以下の強い寒気が居座った状態で、海側からの湿った暖かい空気と西からの冷たい空気がぶつかる場所では積乱雲が急速に発達。雷雨では収まらなくなると、上空で冷やされてできる氷の粒が大きくなり、解けきれないまま地表に降るとひょうになるという。
いわゆる夕立が起きやすい状況は週末にかけても続く見込みで、気象台は「14日もだったが、竜巻情報などが発表された場合は十分に気を付けてほしい」と呼び掛けている。