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灯籠を海に浮かべ供養

本紙掲載日:2021-08-17
3面

土々呂慰霊講が流れ灌頂

◆初盆の家族「心の区切り」

 延岡市の土々呂慰霊講(吉永清会長)の「土々呂流れ灌頂(かんじょう)」は16日、土々呂漁港で行われた。103回目を迎える伝統の盆納め行事は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続いての縮小開催。厳かな雰囲気の中、灯籠を海に浮かべて地域の先祖や初盆のみ霊を慰めた。

 法要では、極楽寺の柳田泰宏住職や延岡市仏教会の野中玄雄会長らが読経し、初盆を迎えた家族や慰霊講役員が静かに焼香を行った。その後、役員が灯籠を一つずつ海に下ろすと参加者は手を合わせ、穏やかな波に揺られる明かりを見送った。

 昨年10月に夫を亡くして以来、心の区切りをつける機会を探していたという吉岡ケイ子さん(81)は「ようやく送り出してあげることができたと実感している。気持ちが安らいだ」と話した。柳田住職、吉永会長はともに「昨年同様に縮小開催となったが、法要だけでもできてよかった。来年こそはいつも通りの流れ灌頂を行えるようになってほしい」とコロナ禍の早期収束を願っていた。

 土々呂流れ灌頂は、1918年に地元極楽寺の柳田秀明住職(当時)が、先祖や初盆の慰霊を通じて人々の心を癒やし、町おこしにつなげようと発案。当時の総区長や寺世話人、地域住民の協力を得て「土々呂慰霊講」を発足させ、毎年8月16日に実施している。例年は和太鼓演奏や盆踊り大会、お楽しみ抽選会などの催しも開いており、家族連れなど地区内外から多くの人が訪れる。

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