キャリア教育−地域の大人と対話

西郷義務教育学校「ひなた場」で交流−美郷

　保護者や教諭以外の大人と人生について語り合うキャリア教育プログラム「ひなた場」がこのほど、美郷町の西郷義務教育学校（川越政紀校長）であった。７〜９年生３４人が、講師として訪れた地域の大人との対話を通し、自分の将来について考えた。

　ひなた場は、県教育研修センターが昨年度から取り組むプログラム。保護者や教諭以外の大人と接点が少ない生徒たちに、多様な大人と出会い、対話する場を設け、理想の大人を見つけることなどを目的としている。

　講師として参加したのは、会社員や自営業、地域おこし協力隊ら１５人。これまでの人生を時系列で図式化した「人生グラフ」（縦軸が気持ちの上下、横軸が時間）、グラフを基に経験談を描いた「人生紙芝居」を用いて講話した。生徒は２、３人一組の１２班に分かれ、それぞれに大人１人が付いた。

　このうち、南郷上渡川で養鶏や人材派遣の会社「鶏王」を経営する黒木豪志さん（４０）の人生グラフは、「大学入学で１人暮らし」「彼女ができた」「子どもが生まれた」時などにグラフが最大値に。一方、「教員試験に落ちる」「第２農場のため借金５千万円」などで降下を示していた。

　４月には、息子が病で入院し、最小値よりもさらに下へ。「現在は、子どもも元気になってきているのでグラフも再び上昇中」などと、起伏するグラフを当時の状況を振り返りながら説明した。

　各班で大人の人生グラフの説明を受けた後は、生徒と大人で１対１になり対話。生徒のグラフを用いながら、現在抱える悩みや将来の夢などについて語り合った。その間、他の生徒は３人の大人による人生紙芝居を見る時間に当てられた。

　甲斐光祐さん（１５）は「第三者のリアルな話が聞けて、いろいろな場所に行き、いろんな人と出会い、たくさんのことを経験したいと思った。進路や将来については考えているので、夢に向かって進んでいきたい」と話した。